「芭蕉にもビートルズにも駄作あり」

今朝の毎日新聞の投稿川柳にあった。この川柳のせいで、はたしてビートルズの駄作とは何なのかを考えるのに、2時間近くを費やすはめとなってしまった。(芭蕉の駄作についても考えたのだが、そもそも10首ほどしか知らないのであるから、こちらの問題についてはすぐに「わからない」との結論を得た)
何をもって駄作とするか、まずこれに30分かかった。一度聴き始めたら最後まで聴き通すのが常である彼らのアルバムの中にあって、どうしても早送りしたくなる衝動にかられる曲、こう定義することにする。BEST(WORST?)5を選曲しようとしたが、4曲という中途半端な数字となってしまったので1曲にしぼる。

『フール・オン・ザ・ヒル栄えある駄作に選定されたのはこれ。ポールは大好きなのだが、これについては詩も曲もあざとさがあまりにも出すぎている(しつこいけれど彼のあざとさは嫌いじゃないのよ)。丘の上に立つ愚者はポールなんだよと言われても、ふーんである。
ちなみにもう20年ほど前だと思うが、ラジオでビートルズのワーストを選ぶ企画があった。そのときは『イエローサブマリン』が2位、そして1位は『エヴリー・リトル・シング』だった。あの曲はむしろ好きな方なので、ひどく驚いた記憶がある。

読書

夜明け前に鎮痛剤の効き目が切れ、激痛のせいで否応なく目覚めるというのが続く。さすがに6時から仕事を始める気はしないので、1時間半ほどを読書にあてる日々が続いている。そんなわけで、1月は久しぶりに読めた。

超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)

超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)

☆☆☆★
再読。『超税金対策殺人事件』、『超長編小説殺人事件』の2編が特に毒があって大好き。
名探偵の掟

名探偵の掟

☆☆☆☆
上のを読んだらこちらも読みたくなってやはり再読。新本格の書き手たちをからかう内容なのに、『メフィスト
で連載していたことに驚き。
幻夜 (集英社文庫)

幻夜 (集英社文庫)

☆☆☆☆☆
東野圭吾3連発。愛する女性のために罪を重ねていく男そして真相を執拗に追いかける刑事の姿を世相をからめて描くという、『白夜行』と同じモチーフの作品。違うのは、こちらは女が主体で男は翻弄される立場であること。その分、二人が同じ宿命を背負っていた『白夜行』の方が小説としてのランクは上であるけれど、面白さでいえばこちらの方が、というよりも東野作品の中で一番楽しく読めた。
Q&A (幻冬舎文庫)

Q&A (幻冬舎文庫)

☆☆☆
大型商業施設で死者69名負傷者116名という重大事故が発生。ところが犠牲者の死因のほとんどがパニックとなった店内の混乱の中での圧死であり、その引金となったものも特定できない。生存者たちへの質問と答えだけで物語が展開するという趣向で書かれた作品。
高校生の頃にプロットを思いついたのだが結局1行も書くことなく棄ててしまった、自分の幻の処女作品を思わせるところがずいぶんあって驚く。削った方がよかったのではないかと思われる章が2つほど。
町長選挙

町長選挙

☆☆☆
んー、『最悪』が大好きな自分としてはこのシリーズはとっとと終ってもらって、早くまた犯罪小説に戻ってきてもらいたいところ。実在の人物をモデルにするのはいいのだけれど、あまりにもそのものであっては小説としてどうでしょうか。変態医師伊良部の性格も、なんか癒し系に変わってきちゃったみたいだし。色っぽい看護婦マユミが、ようやくキャラとして立ってきたのが救い。マユミを主人公として一編書かれそうだ。
影踏み (祥伝社文庫)

影踏み (祥伝社文庫)

☆☆☆☆★
全くはずれがない横山秀夫。でもタイトルがそっけないせいで、既に読んでるものを手にとってしまうことがしばしば。これも単行本と文庫本の2冊とも買ってしまった。しかも同じ日に。
これまでの作品と趣を異にするのは、主人公が「ノビ師」という犯罪者であることと、実の母親の手で焼き殺された双子の弟の思念が主人公の頭に残っていて彼と会話をしながら真相を解き明かしていくという設定にある。元々硬質な文体の人であったが、この作品集はまさにハードボイルド。二枚目で頭が良くて喧嘩も強いと、主人公がカッコ良すぎるのが唯一の難点。

コミックではこれらを既刊分まとめ読み。

おおきく振りかぶって(9) (アフタヌーンKC)

おおきく振りかぶって(9) (アフタヌーンKC)

へうげもの(5) (モーニング KC)

へうげもの(5) (モーニング KC)

シュガー 7 (アッパーズKC)

シュガー 7 (アッパーズKC)

画のタッチから敬遠していた『おおきく振りかぶって』だが、作者が野球をよく知っていることに驚くとともに、とても楽しく読めた。

やだねェー

ちょっと油断している隙に、世間は2月に突入してしまっていた。そんな中、いかにも日本人らしい現象が二つ。一つはギョーザを食べて体調不良となったと訴えた者が1200人を超えそうな勢いであること。おそらく、ただの食いすぎが40%、もともと風邪で体調が悪かったが30%、賞味期限切れを食ったが15%、家族の誰かに毒を盛られたが5%といったところだろう。何なんざんしょ、この人たちは。もう一つは某女性歌手の「35過ぎると羊水がどうだらこうだら」との発言に非難が集中して、謝罪コメントを掲載しなければならなくなったこと。最近、こういった「言葉狩り」が増えてきているように思える。迂闊に冗談も言えないような社会がお望み?みんな普段はもっと酷いこと言ってるくせに。ああ、あと芸能人がブログに書いたことを、裏付けも取らずにそのまま記事にしてしまう風潮もどうか。真実ばかりが書かれているブログなんて、そうそうないだろうに。

邂逅

釣りが出ないように一円玉を財布から取り出したり、ゴミ入れにスーパーの袋をセットしたりと、男の美学はどこへやら、いつのまにかすっかり所帯じみてしまったのは、どこのどいつでもない俺様だ。缶コーヒーやカップ麺をコンビニよりずいぶん安く買えることを知ってからは、近所のドラッグ・ストアへの週一通いも始まった。さすがにポイントカードをつくることは断っているけれど。
さて、午前中ずっと鳥肌が立ちっぱなしというあまりの寒さにラーメンを食べにいったその帰り、そのドラッグ・ストアの駐車場で出合ったのだ、その子に。(別に倒置法をつかうほどのことでもないのだが)
車から降りようとしたときにちょうど店から出てきた女の子というのが、今朝読み終えた『幻夜』の主人公のような実に妖艶な顔立ちをした女子高生で、短いスカートからはきれいな脚が伸びている。この寒空の下何たる潔さよ。ドアに手をかけたまま、思わずその顔に見入ってしまったのだが、驚いたことに当方の視線をとらえた彼女、微笑みながらこちらに会釈をする。もしかしたら自分の後方にいる人物に対してのものかもしれないぞ、そうだったらえらく恥ずかしいぞとどぎまぎしながら曖昧に頭を下げ、ドアを閉めるときにそれとなく後ろをうかがうと、やはりあの微笑みは自分に向けられたもので間違いはなかった。キーロックを確認するふりをしながら、急いで頭を回転させるが心当たりはない。
「お世話になってます。こんなに大きくなりました。」との声に頭を上げると、いつの間にか自分たちの車の前に移動していた女の子とその母親とおぼしき女性がこちらに頭を下げている。もちろん声をかけたのはお母さんの方だ。そのときにお母さんの顔をしっかりと見ていればよかったのだが、はあと頭を下げながらいったいどこのお嬢さんであったかを思い出そうと、その子の顔ばかりを見続けてしまっていて、あげくの果ては「びっくりしたよ」とある意味そのままのまぬけな言葉しかかけられずに、別れたのであった。そして、脚をジロジロ見なくてよかったなと、実に中年男らしいことを思ったのであった。
お世話になっていますという現在進行形の語尾から判断して、一人心あたりがあることはあるのだが、自分の知っている中三の頃の彼女は、必要最小限のことを囁くような声でしか話さない、他者との距離にとても気をつかうおとなしい女の子で、確かに顔立ちは綺麗であったがあまりにもイメージが違いすぎる。それとも自信が彼女をそうさせたのか。十代の女の子にとっては、3年間というのは変身するのに十分な時間だしな。自分はここ15年くらい何も進歩がないけど。

出馬断念

めったにテレビに興味を示さないペルシャ猫が、名前を呼んでも振り向かないほど画面に釘付けとなっている。鳩山幹事長のどこにそんな魅力があるのかと思っていたら、コメンテーターに画が切り替わっても動かない。
「おおい、こいつは政治に興味があるみたいだぞ。今度の衆議院選に出ようとしてんじゃないのか。」「声に迫力があるから、選挙演説はけっこういけるね。」「愛猫家とか、○○への批判票とかあるから、出たらけっこういい線いくかもしれんぞ。」「出馬するとき、名前はどうすんのさ。」などと嫁さんと話しながら、頭の中では選挙ポスターのデザインまでもできあがっていたのだが、あることに気づいてしまった。
「ああ、だめだ。衆議院議員の被選挙権は25歳からだった。」

缶詰

世間は3連休であったようだが、もちろん当方に関係はない。しかしながら怒涛の14時間労働10連荘は終わり、本日より10時間労働とまっとうになる。「年間50日の休日」というのを本年は達成したいと思っているのに、いまだ正月休みの3日間のみ。が、このままうまくいくと今度の土・日は連休がとれそうで、わくわくしている。
一日中事務所に缶詰状態で、家に帰っても酒飲んで寝るだけとなると、何も書くことがない。寂しい限りである。